2008/10/19

Firefox 3.1 beta 1 レビュー

原文:Firefox 3.1 beta 1 released and reviewed by Percy Cabello -- October 14th, 2008



Firefox 3 リリースからちょうど4ヵ月後、Mozilla は 次の更新に向けた最初の公式開発リリース Firefox 3.1 Beta 1 をリリースしました。

Firefox 3.1 は基本的に Firefox 3 最終リリースに間に合わなかった機能や改善に対する補完リリースとなります。一例として新しいタブの切り替え動作があります。これは Ctrl + Tab(Mac では Cmd + Tab)を押したときに次のタブに移動するのではなく、現在のタブと直前に表示していたタブを切り替えます。切り替え時に Ctrl を押し続けると、最近使用したタブのサムネイルが小さな暗いウィンドウ内に表示されます。サムネイルをクリックしてそれを選択できるほか、 Ctrl キーを押しながら W を押すとそのタブを閉じることができます。

数ヶ月間それを利用した後、私はその新しいタブ切り替え動作に依存するようになってしまいましたが、まだタブのプレビューダイアログを常用するようにはならず、目的のタブにすばやくたどり着く手助けにはなっていません。(about:config から)browser.ctrlTab.mostRecentlyUsed を false に設定し Firefox を再起動すると、タブの切り替えとサムネイルの両方を無効にできます。別々に制御できる隠しオプションがあればよいと思うのですが。



他にもタブブラウジングの更新として、(Firefox 3のような単なるリロードではなく)ウィンドウ間の真のドラッグアンドドロップの実装や、デフォルトでタブバーに追加された新しいタブを開くための専用ボタンなどがあります。



Ctrl キーを押しながらリロードボタンをクリックすることにより現在のページを新しいタブにリロードすることができます。(訳注:リロードボタンの中クリックでも可能)

性能面では、TraceMonkey はウェブアプリケーションの性能を劇的に向上させる JavaScript 最適化技術です。これはデフォルトでオンにするにはまだ不安定ですが、about:configjavascript.options.jit.contenttrue に設定することにより有効にできます。

あなたがもし何十個ものウェブフィードを購読しているならば、 不定期なフリーズを防止するリフレッシュ手法の更新に気がつくでしょう。私は約100個のフィードを購読していて Firefox 3 ではこのフリーズは日常的なものでしたが、ナイトリーに修正がチェックインされて以降、過去3週間フリーズは発生していません。

Firefox 3.1 では HTML 5 の仕様で定義されている <audio><video> タグが実装され、オープンでフリーな Ogg Theora と Vorbis によるビデオとオーディオフォーマットがネイティブでサポートされます。

Geolocation は Firefox が現在のユーザの位置情報を(大雑把または正確に)ウェブサイトに提供できるようにします。これによりサイトは位置情報でカスタマイズされたコンテンツを提供できます。先週リリースされた Firefox 3 の拡張機能 Geode は Firefox 3.1 でバグを見つけたり、最も重要なプライバシーの問題をテストするためにリリースされました。



awesomebar の結果からタグやブックマーク、履歴アイテムを除外するオプションはもともと Firefox 3 で予定されていましたが、今回実装されました。ロケーションバーにタイプするときにデフォルトオペレータを使用することにより、または about:config に設定を追加することによりこれらを恒久的に除外することができます。これはこの機能が6月に導入されて以来、多くのユーザから寄せられたプライバシーに関する懸念に対処するためのものです。

タグは一度に複数のブックマークを対象に編集できるようになりました。



ウェブ開発者はいくつもの強力な改善を利用できます。CSS メディアクエリは開発者がユーザのスクリーンサイズ、解像度、色表示能力に応じたコンテンツを提供できるようにします。クエリセレクタはウェブプログラマが相対的なページ要素(relative page elements)に効率的にアクセスできるようにしてアプリケーションの性能を向上させます。HTML 5 のドラッグアンドドロップ仕様のサポートは共通タスクを容易にします。CSS transformationsSVG effects for HTML の実験的なサポートは回転、スケール、ぼかし、露出過多(solarize)などの効果を施したウェブ要素によりウェブデザイナの可能性を劇的に拡大します。



CSS の @font-face、すなわちユーザがフォントを自動的に取得してだれでも同じに見えるようにするためのウェブページ埋め込みフォントのサポートも含まれています。Mozilla はウェブ開発者が自由に使用と配布ができるパブリックドメインのフォントを収集している Open Font Library プロジェクト への $5000 の助成金でこの機能をサポートしています。

クロスサイト XMLHttpRequests のサポートが Firefox 3.1 で戻ってきました。これはリリース間際の仕様の変更により Firefox 3 では中止されていましたが、今や AJAX ウェブアプリケーションは(サーバが許可するなら)他のウェブドメインからコンテンツを取得できるようになりました。

Beta 1 はよく知られたウェブ標準準拠・性能テストである Acid3 で89点を記録し、Firefox 3の75点から20%ほど向上しました。ナイトリービルドでは Firefox はすでに90点を記録しており、 Ehsan Akhgari による実験的な Windows と Linux のビルドで示されているように97点まで押し上げるいくつかのパッチがレビュー待ちとなっています。一方、WebKit のナイトリーはすでに正確さと速度の面で満点を取っています。



少なくともあとひとつのベータ(おそらくは二つ)で、もっと多くの機能が予定されています。

注目株は、プライベートモード(これは Safari に続く Chrome の Incognito と Internet Explorer 8 の InPrivate により突然期待の機能となりました)、タグの自動補完、現在の(タブバーの右端にある)タブの一覧表示ボタンを置き換えるすべてのタブのプレビュー機能、Places の大幅な性能向上、Windows のテーマのリフレッシュ、ドラッグアンドドロップによるタブの(独立したウィンドウへの)分離、タブのアニメーション、それに洗練されたオーディオ/ビデオ再生コントロールなどすべてが間もなく投入されようとしています。TraceMonkey のデフォルトでの有効化を含む通常の性能と安定性の改善も含まれます。

さらに、Mac OS X 上で Firefox 内に PDF を表示するオプション、一定期間後にプライベートデータをクリアするモードも検討されています。見直しされた awesomebar(awesomebar++)は “private” にタグ付けされたブックマークを除外し、ロケーションバーから開いているタブを検索します。

復元したいウィンドウとタブを明示的に選択できる改善されたセッションリストア機能はすでにナイトリーで利用できます。

二つ目のベータは(11月4日のコードフリーズから予想すると)11月中旬に、Firefox 3.1 正式版は来年早々にリリースされる見込みです。

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