2008/12/11

プライバシー、タブ、ウェブコンテンツが改修された Firefox 3.1 Beta 2

原文:Privacy, tabs and web content overhaul in Firefox 3.1 Beta 2 by Percy Cabello -- December 8th, 2008

Mozilla は Firefox 3 の最初のメジャーアップデートの二つ目の開発リリース Firefox 3.1 Beta 2 をリリースしました。

Firefox 3.1 には複数の新しい機能(多くは Firefox 3の積み残し)が追加されているほか、大幅な性能、使い勝手、ウェブ標準準拠の向上が含まれます。

それでは見ていきましょう。

タブブラウジング

このリリースではタブブラウジングが注目されています。Beta 1で導入された新しいタブのプレビューCtrl+ Tab 切り替え動作の削除など劇的な変化もありましたが、まだ素敵な改良があります。それらの多くはタブブラウジングをデフォルトモードとする決定によりもたらされました。

タブバーは常に表示されるようになり、新規タブボタンも追加されて、初心者でもタブブラウジングが認識されやすくなりました。


タブブラウジングには(Firefox 3のように単にページをリロードするのではなく、親子関係を変更することによる)本当の意味でのウィンドウ間のタブのドラッグ&ドロップが実装されました。また、タブを単に Firefox のタブバーの外にドラッグすることにより独立したウィンドウに分離することができます。

Ctrl キーを押しながら Reload ボタンをクリックすると現在のページを新しいタブに開きなおすことができます。これは Firefox 全体としては一貫性のとれた動作ですが、もしあなたがこのマウスとキーボードの組み合わせを強制ページリロードとして用いていたのなら、しばらくのあいだ悩まされることでしょう。

性能

性能面では、Beta 1で導入された JavaScript の最適化技術 TraceMonkey は十分安定したので Beta 2ではデフォルトで有効になました。これにより劇的に性能が向上しています。

私のテストでは、SunSpider ベンチマークは Firefox 3.0.4の半分の時間になり、Mozilla 製の JavaScript ベンチマーク Dromaeo では実行時間を1/3ほど短縮しました。

フィードの更新方法が変更され、大量のフィードまたは非常に長いフィードを購読しているときの"奇妙な"ハングアップが防止されました。

Placesのクエリに関する多くの最適化により、全体的な性能が向上しました。特に Linux においていくつかの SQLite 操作が過度なファイルシステムへのアクセスを引き起こしていた問題が解消されました。

JavaScript コードでウェブページのバックグラウンドプロセスを 宣言、生成、実行するための標準手順 web workers は、ウェブ開発者が複雑なスクリプトでも全体のインタフェースをロックさせることなく、応答性の高いリッチインターネットアプリケーションを作成すること可能にします。

プライバシー

Firefox 3で導入された awesomebar の大きな問題のひとつは、あなたが閲覧した他人に知られたくないウェブサイトを意図せずに暴露してしまうことが起こり得ることでした。Firefox 3.1 ではタグ、ブックマーク、履歴の項目を awesomebar の結果から除外するオプションが追加されました。これはもともと Firefox 3 で予定されていたものです。これらをフィルタリングするにはロケーションバーに規定のオペレータをタイプするか、あるいは about:config で恒久的に設定することができます。

しかしながら、最も重要な変更はプライベートブラウジングモードの導入です。ツールメニューからプライベートブラウジングを選択すると、すべての訪問したページ、検索、フォームの履歴、クッキー、ダウンロード履歴はプライベートモードを終了するか Firefox を終了させたとき(通常の終了およびクラッシュ)に削除されます。



今のところプライベートモードであることを区別できるのは、タイトルバーに追加される(プライベートブラウジング)の文字だけです。ユーザにプライベートモードであることを認識させることと、”プライベートなこと”を行っているのを他人に知られたくないことのバランスよい解決策が次の Firefox に追加されるでしょう。

プライベートモードを検出して、適切に動作させるためのインタフェースが、拡張機能とテーマの開発者向けに提供されています。例えば、Toggle Private Browsing はツールバーにプライベートブラウジングを切り替えるボタンを追加する拡張機能です。

もしプライベートブラウジングモードにするのを忘れたら、ツールメニューの(以前はプライバシー情報を消去であった)最新の履歴を消去ダイアログで過去1、2、4、12時間ほど遡ってプライベート情報を削除できます。


ユーザ体験

最初の変更はセットアップ時に気が付くでしょう。すでに発表の通り、Mozilla はセットアップ処理から EULA を削除しました。代わりに、最初の起動時に about:rights へのリンク付きの情報バーが表示されます。これは Firefox のライセンスと商標について説明する新しい内部ページです。典型的なインストールでは3回のクリックで Firefox をインストールできるようになりました。

はじめてのユーザ向けにロケーションバーに「ブックマークと履歴を検索」というラベルが追加されました。このヒントは新規タブを開いて他の場所にフォーカスを移動したときだけ表示されるので、それほど頻繁に見かけるものではありません。



デフォルトではタブバーは常に表示されるようになりました。各タブ自身がアクティビティインジケータを持っているので、もはやスロッバーは冗長になり、デフォルトではツールバーから削除されました。

アップデート通知は情報量が増え、どれくらいの時間がかかるかが表示されるようになりました。アドオンのアップデート(特に大きなもの)でもこの改善が役に立つでしょう。


最近の MacBooks のマルチタッチトラックパッドがサポートされ、ジェスチャーによる戻る・進むナビゲーション(左スリーフィンガー、右スワイプ)、ページの先頭と最後への移動(上スワイプ、下スワイプ)、ズーム(ピンチインとアウト)、タブの切り替え(時計回りツイストと反時計回り)が使用できます。2010年の Windows 7 ではマルチタップインタフェースのサポートが予定されており、Firefox が準備を整えていることはよいことです。

ジェスチャーは about:config からカスタマイズできます。


ページのソースコードを参照時、JavaScript ファイルや CSS ファイルなどの外部リソースがクリック可能になりました。


新しくなったセッションリストアダイアログではどのウィンドウとタブを復元するかを選択できるようになり、クラッシュ後に問題のあるタブやプラグインを隔離し易くなりました。


Google の検索アイコンは今年初めに導入された青い"g"に更新されました。

ブックマークと履歴の管理では複数のブックマークを同時に編集できるようになりました。


ブックマークと履歴ではタグの自動補完により素早いタグ付けが可能になりました。



ウェブコンテンツ

アルファと前回のベータ以降、コンテンツに関連した改良がありました。
  • CSS メディアクエリは開発者に対して、ユーザスクリーンのサイズ、解像度、色表示能力に応じて適切なコンテンツを配布するようにカスタマイズできるようになりました。
  • クエリセレクタはウェブプログラマが相対的なページへ効率的にアクセスできるようにし、アプリケーションの効率が向上します。
  • HTML 5 のドラッグ&ドロップ仕様がサポートされ、この共通操作が容易になります。
  • CSS transformationsSVG effects for HTML 要素の実験的サポートにより、回転、スケーリング、ぼかし、露出過多(solarize)などの効果を施したウェブ要素によりウェブデザイナの可能性を劇的に拡大します。
  • 埋め込みフォント(@font-face)は、ウェブデザイナが意図したものとまったく同じフォントをユーザが表示できるようにします。
  • 仕様が固まったクロスサイト XMLHttpRequests のサポートが Firefox 3.1 に戻ってきました。これにより、AJAX ウェブアプリケーションは(もしサーバがそれを許しているなら)他のウェブドメインからコンテンツを取得できるようになります。
  • Firefox 3 で導入されたカラープロファイルのサポートがデフォルトで有効になりました。


ベータ2はベータ1に比べて Acid3 テストで4点上昇し93/100になりました。多くのパッチがレビューを待っており、Ehsan Akhgari によって提供されている Windows と Linux の実験ビルドでは97点を記録しています。


Beta 1で導入された Geolocation は、Firefox がユーザの(さまざまな精度の)現在位置をウェブサイトに送信して、位置情報でカスタマイズされたコンテンツを要求することができます。少し前にリリースされた Geode は Firefox 3.1 でバグを見つけたり、最も重要なプライバシーの問題をテストするためにリリースされました。



Beta 2はすでに導入されている <audio><video> タグ、オープンでフリーな Ogg Theora と Vorbis によるビデオとオーディオフォーマットのネイティブサポート、.wav ストリームフォーマットの対応が拡張されています。

ビデオオブジェクトにはコンテキストメニューが追加されて、ビデオを自由に制御できるようになりました。これにより Firefox はVorbis と Theora のプレイヤーとして登録できるようになりました。


次にくるもの

水平線に見えてきた3番目のベータでは、いつもの性能と安定性の向上のほかに、まもなく投入予定のWindows のテーマのリフレッシュと改善、タブのアニメーション、より良いオーディオ/ビデオ再生制御などの追加が予定されています。

ロケーションバーでの "private" タグつきのブックマークの除外と、開いているタブの検索はこのリリースからは除外されました。

新しい開発版リリースの常として、現時点ではほとんどのアドオンは3.1にはまだ対応していませんが、拡張機能のインタフェースは特別な例外を除いて凍結されています。開発者は更新作業を始めるときです。

Mozilla は Firefox 3.1の開発のためのブランチを切りました。将来のバージョン(今のところ Firefox 3.2)向けのコードは trunk にチェックインされます。

Firefox 3.1 Beta 2を入手しましょう。

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2コメント:

11:13 午前Anonymous 匿名 さん曰く...

Dromaeo では実行時間が1/3になりました。
-> Dromaeo では実行時間が1/3短縮されました。

の誤訳です。1/3 になったのではなく、1/3 高速化して 2/3 の時間で完了するようになりました。
私の手元では 8400 -> 5000 と 4割短縮でしたが。

 
10:00 午後Blogger level さん曰く...

ご指摘ありがとうございます。
修正しておきました。

 

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